| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


企画集会 T04-1  (Presentation in Organized Session)

保全優先度指標の概念とアルゴリズム:かけがえのない地域をどう特定するか

*藤沼潤一(琉球大学 熱生研), 楠本聞太郎(琉球大学 戦略研), 塩野貴之(琉球大学 理学部), 久保田康裕(琉球大学 理学部)

近年、生物多様性に関する大規模データの蓄積とパソコンの計算性能の向上は、空間的保全優先地域の特定あるいはスコアリング(spatial conservation prioritization)に大きく貢献している。生物多様性の空間データに基づいて保全上かけがえのない地域を特定するアルゴリズムの開発は、1980年代以降盛んに進められてきた。これらのアルゴリズムが目標とするものを要約すると、経済的な制約のもとで限られた保護区面積を有効に活用して、質的にも量的にもより良い状態で生物多様性の属性を捕捉する、ということになる。これらのアルゴリズムは、(1)保全ユニットの重要性を個別かつ相対的に評価し、重要度の高いものから保護区として採用する方法と、(2)保全ユニット間の相補的な役割を評価して、全体として効率的に生物多様性を捕捉するユニットの組み合わせを探索する方法に分けられ、それぞれのアプローチにおいて長短がある。ここでは、現在一般的に広く用いられているアルゴリズムのいくつかを例にとって、その概念、仕組み、特徴を紹介する。


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