| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
企画集会 T17-1 (Presentation in Organized Session)
ブラジルにおいては、ダム建設ラッシュを助長しているのは、10年以上続いている安定的な経済成長に伴って、かつてないほど高まっているエネルギー需要である。
アマゾンにおける熱帯林破壊は、大規模牧場(あるいは大豆などの大規模農地)開発のための、幹線道路の建設から始まる。ダム建設のために道路が通れば、土地の投機家、農業関係者、畜産業者、麻薬の栽培者、非合法の採金者まであらゆる人間が集まってくる。その結果起こる大規模な熱帯林破壊は、生物多様性の損失だけでなく、大量のCO2を放出することにより気候変動にまで影響を与える。
ダム建設により魚の回遊と繁殖は阻害され、浸水林では植物の成長に欠かせない栄養を豊富に含んだ泥(粘土やシルト)は減り、巨大なダム湖ができる場所に住む先住民たちは立ち退きを迫られる。
このような様々な問題があるにも拘わらず、ブラジル政府は今まで幾度となくその声を黙殺してきた。そこで代替案を提案することを考えた。ダムをつくる以上の電力量を、ダムを造り、管理するよりも低いコスト(あるいは同等のコスト)、低い生態系への影響で生産できることを示せば、ブラジル政府がプランを乗り換える可能性は高くなるのではないかと考えた。