| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム ME03-5  (Presentation in Symposium)

シングルセルRNAシーケンス解析から考える環境DNA研究の展望
Future perspectives on environmental DNA research from single-cell RNA sequencing analyses

*尾崎遼(筑波大・医)
*Ozaki Haruka(Univ. of Tsukuba)

シングルセルRNAシーケンス法(scRNA-seq)は、どの細胞由来かを示すタグをcDNAに付加した上で次世代シーケンサーで配列決定することで、細胞ごとの遺伝子発現プロファイルを得ることができる実験技術である。演者はこれまでscRNA-seqデータ解析およびそのためのソフトウェア開発を行ってきた。scRNA-seqデータ解析では、種々のデータ解析技術を応用することで、これまでの技術では分からなかった細胞集団構造や遺伝子発現不均一性を見出すことができる。他方、環境DNA解析ではユニバーサルプライマーによるメタバーコーディングデータの解析が主流であり、一見するとscRNA-seq解析と環境DNA解析は異なるジャンルに思える。しかしながら、あえてscRNA-seq解析で培われたアイデアを環境DNA解析のコミュニティと共有することで、環境DNA解析の結果を様々な観点から解釈するのに役立つ一助になるのではないかと考えている。
本講演では、まず、環境DNA解析とscRNA-seq解析の概念的な類似点および相違点を指摘する。その上で、(1) 現状の環境DNA解析データに対し、シングルセルRNAシーケンス解析のアイデアを活用することは可能か、(2) 将来ありうる環境DNA解析の実験技術の進歩に対し、シングルセルRNAシーケンス解析での蓄積を活用することは可能か、という観点から、実験技術および情報技術の観点から環境DNA研究の未来を展望する。


日本生態学会