| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-108  (Poster presentation)

植物の可塑性を考慮した群集の環境変化への応答 【B】
Community response to environmental change incorporating plant plasticity 【B】

*Shin Fukui(Waseda Univ.)

気候変動による気温変化、CO2濃度変化は植物の生長に大きく影響する。例えば広葉樹を現状よりも高CO2濃度環境下においた場合、展葉が促進されLAIが大きくなるなどの環境応答が報告されている。このような植物の可塑的な形質変化は生成されるリターの量や成分に影響し、その分解性の違いを通して土壌生物群集に変化をもたらす。さらにこの土壌の変化は植物群集の構成に影響すると考えられる。本研究ではCO2濃度変化に対する植物の可塑的な応答を組み込んだ植物−土壌のフィードバックシステムをモデル化し、植物の環境応答が群集構造に与える影響を解析した。土壌中の栄養塩濃度によって植物はCO2濃度上昇が光合成促進につながる場合とそうでない場合がある。陸上生態系の物質循環を駆動する植物に対してCO2施肥効果が生じると、リターの分解による有機物の無機化を通じて植物にフィードバックがかかるが、貧栄養・富栄養な環境下ではそのフィードバックの群集組成に対するインパクトが異なっていた。これは気候変動による植生変化を予測するにあたっては、植生のみならず生態系全体の状態を考慮しなければ予測結果に大きな違いが生じることを示唆している。


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