| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S06-1  (Presentation in Symposium)

はじめに:同位体情報で得られる環境の異質性
Preface: Environmental heterogeneity by isotopic information

*陀安一郎(総合地球環境学研究所)
*Ichiro Tayasu(Res. Inst. Humanity and Nature)

 生物が持つ安定同位体情報は、生物の代謝系に基づいて取り込まれているため、生物が生存している条件での環境との関係性を示すものと考えられる。特に、この「履歴」が何らかの条件下で保存されるなら、生物と環境の関連性を時系列変化として記録することができるであろう。本発表では、その観点に基づいた研究方法について紹介する。
 本研究手法を用いるためには、まず着目する元素の、着目するスケールで同位体マップ(Isoscape)が作成できることが必要となる。その上で、目的とする生物の、その元素を同化する過程で起こる同位体分別(Isotopic fractionation)がわかっていることが必要である。さらに、目的とする生物に「過去の情報」を保持する部位があることが必要である。その条件下で、多元素や化合物レベル情報などが得られれば、さらに解像度を上げていくことができると考えられる。これらの同位体手法から推定された「履歴」をどのように活用すれば、同位体以外の手法と組み合わせて研究することができるかについての議論を行いたい。


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