| 要旨トップ | ESJ66 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S06  3月17日 9:30-12:30 Room D

多元素同位体情報を用いた海洋生物の移動履歴研究最前線
Frontiers in multi-isotope tracking of marine animal movement

陀安一郎(総合地球環境学研究所)
Ichiro Tayasu(Research Institute for Humanity and Nature)

 地球上における元素の地理的同位体分布は、アイソスケープ(Isoscape:同位体地図)と呼ばれ、各元素の挙動によって決まる地理的分布は、それぞれの元素の動態に関する意味を持っている。近年、陸上生態系においてはアイソスケープがいろいろな元素について書かれ、これを利用した生物の移動を追跡する研究が広がってきている。また、異なる元素のアイソスケープを重ね合わせることで「マルチアイソスケープ」を描き、その分布を利用した研究も徐々に広がっている。
 一方、海洋生態系においては、アイソスケープ作成の困難さから、この手法を用いた研究は少ない。本シンポジウムでは、移動性の高い魚類を中心として、本手法を用いた研究の最前線について議論したい。話題に関しては、両側回遊性の魚類から、沿岸生態系、沖合生態系を利用する魚類について着目する。
 本シンポジウムでは、生態学会ではあまり多くない海洋生態系の研究の中で、水産学や地球化学的視点から魚類の移動研究を行なっている研究者を呼び、この研究の発展性について議論したい。

[S06-1]
はじめに:同位体情報で得られる環境の異質性 陀安一郎(総合地球環境学研究所)
Preface: Environmental heterogeneity by isotopic information Ichiro Tayasu(Res. Inst. Humanity and Nature)

[S06-2]
耳石を用いた魚類回遊履歴復元の最前線 白井厚太朗(東大大海洋研)
The cutting edge of the fish migration study using otoliths geochemistry Kotaro Shirai(AORI, UTokyo)

[S06-3]
沿岸魚類稚魚による複数の生息場所利用とその後の生残 栗田豊(水産機構 東北水研)
Multiple habitats used by juveniles of coastal fish and their contribution to the recruitment Yutaka Kurita(Tohoku Natl. Fish. Res. Inst.)

[S06-4]
仙台湾における東日本大震災以後の食物網構造の変化 冨樫博幸(水産機構 東北水研)
Changes in the food web structure after the 2011 Great East Japan Earthquake in Sendai Bay Hiroyuki Togashi(Tohoku Natl. Fish. Res. Inst.)

[S06-5]
脊椎骨コラーゲンの安定同位体比を用いた仙台湾ヒラメの移動履歴推定 加藤義和(総合地球環境学研究所)
Mobile history estimation of Japanese flounder in Sendai Bay using stable isotope ratios of vertebral collagen Yoshikazu Kato(Res. Inst. Humanity and Nature)

[S06-6]
北太平洋における多元素アイソスケープの作成 松林順(海洋研究開発機構)
Isoscapes in North Pacific Ocean Jun Matsubayashi(JAMSTEC)

[S06-7]
アイソスケープを活用したサケの回遊経路の推定 長田穣(東北大学)
Using isoscapes to track salmon migration Yutaka Osada(Tohoku Univ.)

[S06-8]
魚類移動履歴復元ツールとしての脊椎骨Nd同位体比の可能性 齋藤有(総合地球環境学研究所)
Potential of Nd isotope ratio in vertebral centra as a tracer of marine fish Yu Saito(Res. Inst. Humanity and Nature)

[S06-9]
安定同位体比分析に基づく寒ブリの回遊履歴の復元 太田民久(富山大学)
An attempt to reconstruct the migrational route of Yellowtail though isotope analysis Tamihisa Ohta(University of Toyama)

[S06-10]
脊椎骨椎体による移動履歴復元法の展望と課題 鎌内宏光(総合地球環境学研究所)
Perspectives and issues on the reconstruction of behabial history based on vertebral centra Hiromitsu Kamauchi(Res. Inst. Humanity and Nature)


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