| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
シンポジウム S09-4 (Presentation in Symposium)
グリーンインフラ(GI)とは、社会資本整備に自然の機能や仕組みを活用しようとする考え方であり、「でなければならない」といった考え方から、「それいいね」の自由な発想で社会資本整備を進める考え方とも言える。まさに、社会資本整備に生態学的考え方を取り入れようとする試みであり、この自由な発想を実現するためには、これまでの組織や学問の領域の枠からはみ出た取組みが必要となってくる。ところで、この枠とは何か、一つはなわばりであり、一つは責任といえる。通常はこのどちらかが障壁となり、横断的連携は簡単には進まない。なわばりは、大小様々なものが人間社会のありとあらゆるところにあり、これをなくすことは現実的ではない。しかし、互いの利益をうまく見出せれば、なわばり間の連携は図れるだろう。責任についてはどうか。ある組織の責任範囲を緩和することは、これはなかなか難しい。したがって、それぞれの枠組みの責任を全うさせた上で、既存の責任範囲の外で動く新たな枠組みを作る必要があるだろう。このとき、既存の枠組みと新たな枠組みの間には、当然相互利益が必要となる。さて、このような状況を作るとき必要なものは何か。これまでの成功例の共通点は誠意と情熱である。科学的ではないがこの2つは必須であろう。しかし、この2つはかなりの部分を個に依存するため、持続・拡散させるためには戦略が必要となってくる。戦略は、あるアクションがシステム全体にどのように連鎖するか考えることが重要であり、この考え方はエコロジーそのものである。横断的連携の戦略を生態学的に考えるとどのようになるのか提示し、様々な組織の横断的連携の可能性について議論したい。