| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S09-5  (Presentation in Symposium)

沿岸域におけるGIの社会実装に向けた取組と課題
Efforts and issues for social implementation of GI in coastal areas

*吉原哲(八千代エンジニヤ)
*Satoru Yoshihara(Yachiyo Engineering Co., Ltd.)

気候変動、地球温暖化にともなう自然災害の増加、人間活動による環境負荷の増大、これらに起因する生物多様性の劣化など、地球規模での環境問題が経済・社会への影響を及ぼしており、その度合いは年々増加し続けている。また、多くの既存インフラが老朽化し、更新時期を迎えているにもかかわらず、厳しい財政状況が続いている。このような中、自然環境が有する多面的な機能を活用して持続可能な社会と経済の発展に寄与する「グリーンインフラ」(以下、GIという。)に大きな期待が寄せられている。しかしながら、GIの導入・活用に向けては、行政縦割りの打破、様々な主体との連携、資金調達など課題が山積しており、社会実装がなかなか進まないのが現状である。
その大きな理由として、既存インフラ(=グレーインフラ)に対するGIの代替性やGIならではの多機能性の明示(=各種機能の定量評価)、GIの経済性(=GI導入によるコスト低減)の明示が行われていない点が挙げられる。GIの社会実装のためには、これらを政策決定者へわかりやすく説明し、政策に組み込んで予算を確保し事業として推進してもらう必要がある。また資金調達の面では今後、グリーンボンドなどの活用が重要になってくるものと考えられ、そのためには投資家に対しても同様な説明が求められる。
 当社は、自治体、港湾空港技術研究所、地元漁協、NPOなど多様な主体との連携によりブルーカーボン(=海域におけるCO2固定)を活用した沿岸域におけるGIの社会実装の取り組みを支援している。ここでは横浜市、福岡市の事例を紹介するとともに、現状の課題を踏まえ今後このような取組を拡大していく上で必要と考えられる官学連携の姿について提案したい。


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