| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S10-5  (Presentation in Symposium)

東南アジアにおける淡水魚類多様性の危機と将来
Threats and future of freshwater fish biodiversity in Southeast Asia

鹿野雄一(九州大学), *中野伸一(京都大学)
Yuichi Kano(Kyushu University), *Shin-ichi Nakano(Kyoto Univesity)

東南アジアの陸水生態系における,淡水魚類多様性の現状と展望を概説する.東南アジアの淡水魚類多様性は,現在様々なリスクにさらされている.都市部の小河川における水質汚染は魚類多様性に影響を与えているが,今後のインフラ整備により改善される可能性がある.外来魚問題は近年になっていよいよ顕在化してきており,今後も注視が必要である.アブラヤシやアカシアのプランテーションの拡大は特にマレーシアとインドネシアで著しく,大きく魚類多様性を損ねているが,いずれカンボジアやミャンマーなど大陸側でも拡大する恐れがある.水力発電ダムは当該地域の魚類多様性における最大の脅威であり,メコン川本流での建設・稼働を含め,今後の動向が極めて不安視される.温暖化が魚類多様性に与える影響は未知数だが,少なくとも上流への遡上を阻害するダムと合わせた負の相乗効果が懸念される.このような状況の中で,我々はどのような生物多様性観測すべきか,特にそのメソドロジーについて議論する.


日本生態学会