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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB1-265

焼畑休閑林と原生林における分解者群集の比較

與嶋 愛(名大),中川 弥智子(名大),鴨井 環(愛媛大),酒井 章子(地球研)


東南アジア熱帯林は急速に消失・変貌しており、それにともなった生物多様性の減少は重要な地球環境問題のひとつである。近年では、商業伐採やプランテーションだけでなく、人口増加・林道の発達に伴って焼畑としての土地利用が面積的に拡大しており、その利用周期が短縮している。土壌動物は、森林生態系において有機物分解や物質循環に重要な役割を果たしており、それらを保全することは生態系機能を維持することにつながると考えられる。焼畑跡地(休閑林)ではすぐに植物が生育し始めるが、その種組成や明るさ・温度などの生息地環境が原生林と大きく異なるため、土壌動物にもその影響が及ぶことが予想される。さらに休閑年数の違いによっても土壌動物は変化する可能性が考えられる。そこで本研究では、1)異なる遷移段階の焼畑休閑林と原生林において土壌動物の群集構造を明らかにすること、2)土壌動物の群集構造に強く影響を及ぼす生息地の環境要因を特定することを目的とした。

調査は2008年10〜11月にかけて、マレーシア・サラワク州・ランビルヒルズ国立公園(原生林)、及びその周囲に広がる若い焼畑休閑林(焼畑後5〜10年)、及び古い休閑林(焼畑後20〜40年)の3タイプ・15箇所のプロットで行った。土壌(25*25*5cm)とリター(25*25cm)から採取した土壌動物群集を比較すると、休閑林と原生林との間で群集構造に明瞭な差はなかった。ただし、アリ・シロアリを除いた土壌動物の密度は、若い休閑林で最も高く、原生林で低かった。出現個体数が多いアリ類については形態により種まで同定したところ、若い休閑林、古い休閑林、原生林でそれぞれ22、23、28種確認され、樹木種数や樹木密度などの森林群集構造との相関が示唆された。


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