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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB1-299

山形県金目川流域におけるブナ天然林の更新初期段階の動態の地形依存性

*染谷潤一郎(宇都宮大・院・農),逢沢峰昭(宇都宮大・農),大久保達弘(宇都宮大・農)


山形県小国町金目川流域には、凹凸を伴った微地形が顕著に発達した第四紀の地すべり地形が見られ、この地形上に日本海型ブナ林が成立している。このようなブナ林の個体群動態は微地形の影響を受けていると予想される。これまで筆者らは胸高直径(DBH)5cm以上のブナ成木個体の更新の地形依存性を解析し、ブナ成木は大きな地形スケールにおいては急傾斜地に多く、小さなスケールになるほど凸地に多いことが分かった。しかし、個体サイズが大きくなればなるほど地形への依存性が強まるというわけではなく、DBH5cm以下の生育段階で既に更新適地の選択が起こっていることが示唆された。そこで本発表ではDBH5cm以下の実生から稚樹までの生育初期段階に注目し、成長段階を追って地形要因との関係を解析することにより、更新適地の選択がどの段階で生じるのかを明らかにすることを目的とした。

本調査地では1994年から2008年までの14年間の実生、稚樹の調査が行われた。この調査データのうち、当年生実生は発生数の多かった1994年と2006年の発生実生の2年間の発生数、生存率、死亡率データを、稚樹は1994年、2000年、2006年、2008年の出現数データを解析に用いた。これらを目的変数とし、説明変数として成木で有意な関係が見られた小スケールの凹凸度と大スケールの傾斜度を用いて一般化線形モデルによる解析を行った。

実生段階の発生数では、AICによる変数選択の結果、凹凸度が選択された。しかし1994年6月と2006年8月で、標準化偏回帰係数の符合が逆だったことから、これは同じ実生段階でも発生直後の時期とすでに更新適地の選択が完了した時期があることを意味する。すなわち、8月までに実生の更新適地の選択が起こっている可能性が示唆された。


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