ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB1-310
*齋藤時子(新潟大・農),大山拓郎(新潟大・農),紙谷智彦(新潟大院・自然科学)
自然林ではギャップサイズが異なると時間の年経過にともなう植生変化と高木種の更新パターンが異なることが予想されている。これらの現象を実験的に明らかにするために、1993〜1996年にかけて、ブナ・ナラ優占の広葉樹二次林内にサイズの異なる11個の人工ギャップを創出した。本研究では創出後15年が経過した人工ギャップを使い、ギャップサイズが更新に及ぼす効果とともに、2001年に発生したナラ枯れの影響を検討する。
調査は新潟県阿賀町上川で行った。人工ギャップは50m 2未満をS(5)、50 m 2以上150 m 2未満をM(4)、150m 2以上400 m 2未満をL(2)とした。植生変化と高木種の更新については、ギャップ創出直後と5年後の変化とその後の5年後の変化を比較するため、1997・2002・2003・2008に各ギャップで行った植生調査のデータを使った。植生調査は1m×1mのコドラートをギャップ下・林縁部・周辺の林冠下に計20〜28個設置した。各コドラートでは、出現した全植物種名、林床の最大植物種名と高さ、高木種については全個体の高さを記録した。また、光環境を推定するために地上約50cmで全天空写真を撮影し、光合成有効光量子束密度(rPPFD)を算出した。
コドラート当りの平均出現種数を高木種・低木種・ツル・ササ・草本の5タイプに分けて比較したところ、ギャップサイズに関係なく、ギャップ下で前半5年間に増減したケースが多かった。また、後半5年では高木種の樹高はギャップサイズが大きいほど高くなる傾向があった。ナラ枯れは植物種多様性を低下させた。以上により、ギャップサイズは時間の経過によって、植生と高木種の更新に影響を及ぼすと結論付けた。