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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB1-328

照葉樹人工林の林分構造の解明

*宮内大策(横国大・院・環境情報),藤原一繪(横国大・院・環境情報)


生態学的な知見に基づくエコロジー緑化手法によって、1970年代以降、埋め立てや山地造成によって人工的に地形が改変され造成された緑地が数多く存在し、照葉樹を中心とした人工林形成が行われてきた。その林分構造や発達過程について調べることは、今後の人工造成地の緑化においても大きく役立つと考えられる。そこで本研究では初期に造成された照葉樹人工林の林分構造を明らかにし、さらに更新の現状について検討したい。

調査は大分県大分市にある新日本製鐵株式会社大分製鐵所構内に1973年から造成された林内でおこなった。林内に0.11haの調査区を設置し、2004年12月および2005年4月に樹高1.5m以上の個体を対象に毎木調査をおこない、2008年6月に再調査を実施し、新規加入・死亡固体についても記録した。

出現種数は27種で、樹種毎のBAは多い順にクスノキ、タブノキ、スダジイ、サンゴジュ、アラカシ、マテバシイ、イスノキであった。個体密度は4927本/haで、最大DBH75.1cm、最大樹高23.5mはクスノキであった。新規加入は実生由来が773個体/ha、萌芽由来が327本/haであり、中径木で萌芽個体の多いアラカシ・マテバシイで死亡幹が多く、一方でクスノキ・イスノキの死亡率は低かった。シイ・カシ類は林縁付近に多く見られたことが死亡幹の多い原因と考えられた。クスノキが調査地内では最も優占しており、イスノキは閉鎖林冠下でも稚樹個体群の維持と安定した更新が可能なことが予測されていることが死亡率の低かった要因と考えられた。


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