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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB2-692

寒冷放牧シバ草原における地下部バイオマスの季節変化

*木野麻子(早稲田大・教育),高瀬博子(早稲田大・教育),小泉博(早稲田大・教育)


草原生態系の面積は地球全体の約40%を占め、世界に分布する土地の中でも重要な生態系であると言える。また放牧草地の土壌は、施肥、ふん尿還元、家畜やトラクターなどの踏圧というような作用が加わるため、畑などとは異なる特徴のある生態系である。そこで本研究では、この特殊な環境である放牧草原において優占種のシバの地下部が季節に伴いどのような動きを見せるのかを調査するとともに、その動態と土壌環境との関連を明らかにすることを目的とした。

本研究は、岐阜大学流域科学研究センター高山試験地に隣接する岩井牧場内の傾斜の急な牛の放牧草原において、2008年6月〜10月の5ヶ月に渡り行った。月に1回地下部を土ごと採取し、水で土壌を洗い流した後、それらを新地下茎・旧地下茎・枯死地下茎、新細根・旧細根・枯死細根、さらにその他の植物根の計7つに分類し、乾燥重量を測定した。

その結果、7月には細根量が減少し、8月には細根量・地下茎量が共に急激に増加した。このことからシバ地下部の成長の最盛期は8月であったと言える。その後9月になると細根量は減少したが、地下茎量は8月から10月にかけて大きく変化しなかった。次にシバの現存量と環境要因との関係を調べた。土壌水分の割合が減少した7月には地下部現存量も減少し、土壌水分の割合が増加した8月には地下部現存量も増加した。また、温度が下がってくる9月以降は、細根量は減り、地下茎はその量を一定に保っていた。このことは、シバ個体群が貯蔵物質を地下茎に蓄積していることを示唆している。


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