ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB2-693
*上村真由子(農環研),横沢正幸(農環研),米村正一郎(農環研),白戸康人(農環研),飯泉直之丞(農環研)
土壌は炭素の大きなリザーバーであり,有機物の分解・蓄積が行われる場である.土壌への炭素蓄積過程の中で,土壌有機物(SOM)分解の温度依存性における理解の乏しいことが,SOM蓄積のグローバルな推定や将来予測での不確実性を生じさせ問題となっている.本研究では,農耕地におけるSOM長期モニタリングデータからSOM分解の温度依存性を逆推定することを目的とした.手法はベイズ推測を採用し,マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いてパラメータの事後分布を得た.SOM分解過程にはRothCモデルの構造を導入した.モデルで設定されている分解速度の異なる4つのSOMコンパートメントそれぞれについて温度依存性パラメータを推定した.パラメータの事後分布は分解速度の遅いコンパートメントで収束し,その値はサイトや管理方法の違いにより大きく変化した.特に,土壌への窒素の投入が多く,また実験初期の土壌炭素蓄積量が大きいほど温度依存性が高い値を示した.