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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB2-701

冷温帯アカマツ林・ミズナラ林におけるリター分解呼吸の測定とその制限要因の解明

*南雲亮(筑波大・院・生命環境),廣田充(筑波大・菅セ),鞠子茂(法政大・社会)


森林生態系においてリターは土壌への重要な有機物供給源であり、その分解過程を知ることは森林全体の炭素循環の把握に不可欠である。これまでのリター分解に関する研究の主流であったリターバック実験では、リターの重量減少分のうち無機化されCO2となったものと、SOCとして土壌に蓄積されるものを区別することができなかった。2つの流れを区別することは、森林土壌の炭素吸収能力を評価する上でも重要である。そこで本研究では、密閉チャンバーを用いてリター分解由来のCO2フラックスの直接的定量化と、リター分解に関わる制限要因の解明を試みた。また樹種によるリターの違いがその分解性にどう影響するのかを評価するために、測定は常緑針葉樹のアカマツ林と落葉広葉樹のミズナラ林の2つのサイトで行なった。両サイトは長野県菅平高原に位置し、調査期間は2008年4月〜11月である。まず密閉法にて土壌呼吸を測定した後、ソイルカラー内のリター層を別に用意した密閉容器に移し、リターのみでの有機物分解呼吸を測定した。またリター層の水分含量を測定するために、フラックス測定に合わせてソイルカラー外の林床リターを回収し、その湿乾重量を測定した。2008年4〜11月の期間において、リター分解呼吸はアカマツ林で0.38〜2.30μmolCO2m-2s-1、ミズナラ林で0.15〜1.17μmolCO2m-2s-1であった。リター分解呼吸は両林ともに温度だけでなくリターの水分含量にも強く依存し、温度と水分含量を用いた重回帰によって、アカマツ林・ミズナラ林それぞれ65%、81%の変動を説明できた。アカマツ林ではリター層の空間分布にバラつきが大きく、それがリター分解呼吸の値にも影響したものと考えられる。


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