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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB2-711

新しい森林群落高表現法

中井太郎(北大低温研),*隅田明洋(北大低温研),兒玉裕二(北大低温研),原登志彦(北大低温研),太田岳史(名大院生命農)


森林−大気間の水・熱・炭素(WEC)収支モデルで森林間の収支比較を行う際、森林群落高(林冠高)に対する相対値で表わした幾つかのパラメタを使用する。従って、群落高をどう定義するかはWEC収支推定値に影響する重要な問題である。例えば、全個体の平均樹高として定義した森林群落高は同齢単層林ではうまく林冠高を代表できるかもしれないが、多数の小個体が存在する複層群落では平均樹高は実際の林冠高よりはるかに小さくなる。異なる森林間でのWEC収支比較のためには、毎木調査データを使用した客観的な方法を採用しつつも調査地の個体群構造の影響をうけない方法で森林群落高を定義することが必要となる。このような要求を満たす新しい森林群落高(以下CIH : cumulative basal area inflection height)を定義しその有用性について検討した。森林内の各個体の胸高断面積を樹高の小さい個体から積算し、この積算値(縦軸)を樹高(横軸)に対してプロットすると、S字型の曲線を描く。この曲線の変曲点が現れる樹高(地上高)がCIHである。両者の関係を様々なS字型関数で近似したところ、最もあてはまりが良いのはRichards関数であることを温帯から寒帯までの5つの異なるタイプの森林で確認した。また、CIHと空気力学的林冠高(aerodynamic canopy height:森林の風速の垂直分布の変曲点が現れる高さに相当)との相対的な差はどの森林でも12%以下であったが、CIH以外のいくつかの森林群落高の定義では、少なくとも5つのうち1つの森林で20%以上の差があった。このことからCIHは空気力学的林冠高の指標として森林タイプや個体群構造を問わず有効であることがわかった。


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