ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB2-718
*橋本太郎(神戸大大学院),深山貴文,小南祐志(森林総研関西支所),金澤洋一(神戸大学)
地球温暖化の原因である温室効果ガスの中で二酸化炭素に次ぐ影響力を持つと言われているのがメタンである。社会的に地球温暖化に対する関心が高まっている中、近年の研究によると森林もメタンの発生源になっているという可能性が示唆されている。これは森林の豊富な有機物がメタン発生の原因と考えられるが、メタン発生の環境条件は未だ解明されていない。本研究では森林における局所的なメタン放出量の推定を目的とする。
調査地には京都府南部の木津川市に位置する森林総合研究所関西支所の山城試験地を用いた。山城試験は、コナラ、ソヨゴ、ネジキ等が優占する広葉樹二次林である。試験地の年平均気温は15.5℃、平均年降水量は1449.1mm。土壌は砂質の未熟土であり、土層は全般的に薄い。試験地は北東から東西に伸びる2本の尾根に挟まれた小流域からなっている。
試験地内の渓流に調査プロットを設置した。渓流沿いに土嚢を積み護岸処置を施し、土嚢と川岸の間を調査プロットとし水を引くことで土壌水とする。プロット内にマサ土を敷き詰め調査用チャンバーを設置する。調査用チャンバー内にマサ土と有機物(太さの違うコナラの根を3段階用意し、それぞれに15g、30g用意した)を埋没させ一定期間放置する。圧力補正用のテドラーバッグを取り付けたアクリル製の蓋で密閉した後、チャンバー内の空気を0分から15分置きに60分後までそれぞれ30ml採取する。採取した空気はガスサンプルとして30mlバイアル瓶に封入し、GC-FID 15A(島津製作所)で分析を行った
メタンの放出量は日数経過とともに増加傾向にあった。また根の太さや量に影響して放出量が変化する傾向にあり、有機物の表面積や物質量がメタン放出に影響を与えている可能性が示唆される。