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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PB2-722

暖温帯性二次林のコナラにおける枯死根からの分解呼吸の評価

*松本晃(神戸大・農学研究科),小南裕志(森林総研),金澤洋一(神戸大)


土壌呼吸(Rs)は独立栄養呼吸(Ra)と従属栄養呼吸(Rh)に分けられている。RaとRhは気温や土壌含水率など環境要因の変化に対する反応が異なると考えられ、Rsの評価においては両者の分離が必要である。そこで本試験ではRhの中でこれまで測定が困難なために評価が遅れていた枯死根からの分解呼吸量を測定するために、小型チャンバーを用いたサンプリング法による枯死細根からのCO2放出量の直接測定を試みた。

試験は京都府木津川市に位置する山城水文試験地で行った。当試験地は暖温帯性の広葉樹二次林で高木層ではコナラが優占している。また土壌は未熟な花崗岩質土壌である。

試験は9月から12月にかけて行った。まずコナラの根を切り出し水洗した後、直径0-1mm、1-2mm、2-5mmの3階級に分け、タグをつけ、土壌の表層にそのまま埋設した。約10日後から1週間おきに土壌中から根を掘り出し、枯死根からの分解呼吸量を測定した。呼吸量の測定にはガスアナライザーGMP343(VAISARA)を用いた小型チャンバーを使用し、密閉法で行った。測定後、測定個体をスキャナで撮影し画像解析ソフトWINRIZO(Regent instruments Inc.)を用いて表面積、平均直径などを求めた。

今回の測定における分解呼吸量の最大値は、気温22℃の時の577.338(mgCO2/h/kg)であった。また期間中の気温と呼吸量との関係は指数関数で近似でき、Q10は1.5~1.9であった。分解呼吸量はより細い階級ほど大きくなる傾向があり、強い直径依存性がみられた。今回得られた値は本試験地で行われた落葉の分解呼吸量の値と同程度であった。


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