ESJ56 企画集会 T10
3月18日17:30-19:30 L会場
企画者: 白水貴(筑波大・菅平センター), 西田貴明(京都大・生態研)
目的:
菌類研究から見えてくる生態学の新たな可能性を模索する
概要:
カビ、キノコなどで知られる菌類は、古くから生態系の物質循環における分解者(腐性菌)としての役割に注目されてきた。一方、近年になって分解以外の菌類の機能にも焦点が当てられ、生態系における共生者(菌根菌)や捕食寄生者(病原菌)など、菌類の様々な役割とその重要性が明らかになってきた。また、近年の技術の進歩によって、従来困難であった微生物の分類・同定作業にかかる負担は大きく軽減され、さらに個体認識や定量化の精度が向上したことで、微小な菌類を植物や動物で発展してきた生態学と同じ土台で議論することが可能になりつつある。その結果、現在では、菌類が物質循環のみならず、生物の群集形成や適応進化などの理解に重要な役割を果たす可能性が指摘されている。本企画集会では、菌類の様々な機能群、すなわち木材腐朽菌、菌根菌、植物病原菌を扱った生態学的な研究を紹介し、菌類研究が生態学にもたらす可能性について議論したい。
コメンテーター:
(菌学、生態学の分野からそれぞれ1名ずつ)
[T10-1] 菌根共生が植物の被食防衛に果たす役割 〜植物を介した地上-地下部の生物間相互作用〜 西田貴明(京都大・生態研)
[T10-2] 媒介昆虫と病原菌の伝搬様式と相互作用を探る 〜ナラ類集団枯損のマイクロサテライト多型解析〜 高橋由紀子(東京大・農)
[T10-3] 木材を分解する担子菌類はどのように多様化してきたのか? 〜アカキクラゲ類をモデルとした一考察〜 白水貴(筑波大・菅平センター)
[T10-4] 外生菌根菌はどのように多様になったか 〜トリュフ型キノコを例とした考察〜 木下晃彦(東京大・アジアセンター)