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ESJ56 企画集会 T19-4

かかわりの視点からの人文・社会科学的な湖沼環境評価

二宮咲子・鬼頭秀一(東大・新領域)


自然とかかわる人間の営みの環境問題について、かかわりの視点からの人文・社会科学的な環境評価の理念と枠組みを環境倫理学および環境社会学の立場から提案する。具体的には、自然と密接にかかわる「行為」に着目し、自然と人間との関係性や、自然をめぐる人間と人間との関係性における自然的・経済的・社会的・精神的な側面を調査・分析する作業領域として捉える。その際、「生業」、「マイナー・サブシステンス」、「遊び」をその指標(「かかわり指標行為」)として提示する。評価軸としては、環境問題の本質は自然と人間との統合的な関係性の分断にあると考え、分断された経済・社会的リンクと精神・宗教的リンクを再度つなぎ合わせることが環境問題の本質的な解決に繋がると指摘している社会的リンク論を応用した質的な評価軸を示す。また、従来は自然科学的な文脈から扱われてきた狭義の生態系の健全性を示す指標生物種という考え方を人文・社会科学的な文脈に応用し、生業や遊びといった自然とかかわる行為から得る人間の福利を含む広義の生態系の健全性を示す指標種(「かかわり指標種」)という考え方を提示する。そして、最後に、環境問題を解決するためには、環境の自然科学的な側面での評価に基づく保全・再生施策に加えて、自然とのかかわりから得る人間の経済的な資源や、社会的な意味、そして精神的な充足感などの、人文・社会科学的な側面での環境問題の評価に基づく保全・再生施策の必要性を示す。


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