ESJ56 企画集会 T21
3月19日17:30-19:30 K会場
企画者: 土居秀幸(University Oldenburg), 工藤岳(北大・地球環境)
人間活動による温暖化ガスの排出によって進行しつつある地球温暖化が,生物の生存,生態系の成立を脅かす大きな問題になっている。IPCC(2007)によると,地表面の平均気温が2-3度が上昇することによって,生物の30%が絶滅に瀕すると予測されていると同時に,最悪のシナリオでは地球表面の平均気温が2100年までに6.4度上昇すると予測されている。地球温暖化による気温上昇の影響は,広く生物全般に拡がりつつあり,フェノロジー(生物季節),生息域,生物群集の変化,ひいては被食捕食関係などの生物間ネットワークの変化までその影響が波及しつつある。また近年,長期観測データの蓄積や実験的研究により,気候変動による生態系への影響とそのメカニズムがしだいに明らかに なってきた。フェノロジーは,生態系構造の時間的変動を作り出す重要な生態系構成要素である。しかしながら、気候変動によるフェノロジー変化が生態系機能へどのような影響をもたらすのかについての知見は非常に少ない。
本企画集会では,フェノロジーから生物群集,食物網などの生物間ネットワークにいたる,さまざまな段階での気候変動の影響についての最新の研究を紹介する。特に,フェノロジー変化とそのメカニズム,そしてさらにフェノロジーの変化を介した食物網動態についての研究例を紹介する。最後に総合討論として,今後予測される急激な気候変動の生態系への影響について,どのように研究・評価すべきかを議論する場を提供する。
コメンテーター:仲岡雅裕(北大・フィールドセンター),佐竹暁子(北大・創成科学共同研究機構),小野田雄介(Macquarie University)
[T21-1] 気候変動と植物・動物フェノロジー変化:地球規模・日本での変化傾向 土居秀幸(University Oldenburg)
[T21-2] 森林植物群集のフェノロジカルシンドローム:そのメカニズムと気候変動の影響 工藤岳*, 井田崇(北大・地球環境)
[T21-3] 海況変動による動物−植物相互作用系のフェノロジー変化と群集動態 堀正和(水研セ・瀬戸内海区)