ESJ56 企画集会 T27-5
川之辺素一(長野水試)
オオクチバスなどの外来魚(捕食者)はフナ類など在来魚(被捕食者)に対する脅威であるため、その生息地利用や移動を考慮して在来魚の保全対策をはかる必要がある。長野県の諏訪湖に生息するフナ類は生活史のさまざまな段階において湖-河川-水田水路といった異なる生息地を利用する。一方、外来魚の生息地利用はよくわかっていない。そこでフナ類の繁殖場である流入河川に着目し、2006年春から2008年春にかけて諏訪湖南東部に位置する6つの河川に11定点を設け投網によるオオクチバス・ブルーギルの捕獲を試みた。諏訪湖におけるフナ類の繁殖期は3〜6月であるあるから、この時期に流入河川に分布している外来魚が卵や稚魚への潜在的な捕食者となる可能性がある。その結果オオクチバスは秋から春にかけて流入河川に出現する傾向にあった。一方、流入河川のブルーギルの密度には季節的な変動傾向は見られなかった。
また、諏訪湖および流入河川で捕獲した外来魚の胃内容物を調査した。湖沼と河川の間の生息場所の違いによる胃内容物組成を比較することで、生息域ごとの在来魚への捕食の影響の違いを調べた。
時間的空間的な外来魚(捕食者)・在来魚(被捕食者)の分布及び捕食実態の理解が得られたことから、保全上重点的に外来魚対策すべき地点について考察を行う。