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ESJ57 一般講演(口頭発表) E1-02

ヒグマとヒトの軋轢多発地の広域的空間特性−知床半島の例−

*森本淳子, 三島啓雄(北大院農), 間野勉(道環境研), 中村太士(北大院農)


日本各地で野生動物と人間の軋轢(あつれき)が多発している。鳥獣保護区や自然公園保護地区など保護地域の周辺地域はこれまで管理対象外であったが、周辺地域も含めた広域管理の必要に迫られている。軋轢を緩和するためには、軋轢が発生しやすい環境特性を明らかにする必要がある。一方、野生動物は種や性により異なる行動圏をもつことから適切な解析単位を設定することが求められる。

ヒグマの生息密度が北海道内でも最も高いとされる知床半島でも、毎年多くのヒグマが有害駆除されており、軋轢を緩和するための対策が必要とされている。そこで、我々はヒグマとヒトの軋轢発生空間の特性を異なる空間単位で解析し、適切な解析単位の解明と、軋轢発生空間特性の解明を試みた。

知床半島でヒグマが捕獲された際に調査され、5倍地域メッシュ(通称5kmメッシュ)に整理されたデータ(道環境研)を用いて、1990年以降の捕獲数を雌雄別、季節別(4-5月/6-7月/8-9月/10-11月)に集計した。集計は1メッシュ区画、近接4メッシュを含む5メッシュ区画、植物生態系−面積曲線から得たランドスケープ単位で行った。また、同じ区画単位で環境要因(標高、傾斜、最大積雪深、広葉樹面積、針葉樹面積、牧草地面積、畑地面積、市街地面積、番屋数、サケ遡上可能河川の有無、人口)を集計した。応答変数を捕獲数、説明変数を環境要因とした一般化線形混合モデル(GLMM)を作成し、AICによるモデル選択を行った。選択されたモデルについては、AUCによる精度検証を行った。

その結果、雌雄ともに、季節毎に軋轢が発生する環境特性は異なること、メスのヒグマでは、最も小さい空間単位(5kmメッシュ)で説明力が高くなることなどが明らかになった。


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