ESJ57 一般講演(口頭発表) E1-04
*湊秋作(やまねミュ),饗場葉留果(やまねミュ),岩渕真奈美(やまねミュ),大竹公一(大成建設),岩本和明(清水建設),小田信治(清水建設) 小松裕幸(清水建設),佐藤良晴(エンウィット),世知原順子(エンウィット),渡辺裕信(NTT東日本),鈴木竜自(NTT東日本),奥田淳二,小林義人
生物多様性締約国会議(COP10)が、2010年10月、名古屋にて開催され、世界レベルで生物多様性保全について討議や決議がされようとしている中、生物多様性保護のための具体的な「環境共生技術」が必要とされている。日本の環境省は第三次生物多様性国家戦略の中で「生態系ネットワーク」を唱えているが具体的な方法論は、未熟な状況にある。一方、道路や線路により生息地が分断された結果、頻発するロードキルに対し地上性動物の移動のためには、道路下にトンネルを建設するなどの工法が開発されてきた。しかし、樹上動物の移動のための環境技術は、未開拓であった。それで我々は、1998年、山梨県の有料道路上に道路標識を兼ねたヤマネブリッジを山梨県に建設させ、ヤマネ、リス、ヒメネズミの利用を確認した。建設費は約2000万円と高価であった。環境保全の達成には誰もが、どこでも行うことができる「社会化」が必要不可欠である。そこで、より安く、簡易な設計にして小さな建設会社も建設でき、メンテナンスフリーで、樹上動物が利用しやすい「アニマルパスウエイ」の開発研究を行った。2004年は材料研究、2005年は構造研究を行い、道路両側の電柱で吊るすワイヤー製のトライアングル型のパスウエイを開発し、2007年に山梨県北杜市道上に建設し、さらに改良を加えた。建設費用は、200万である。その結果、現在、ヤマネ、リス、ヒメネズミ、テンが利用している。本発表でこれまでの研究過程と実績を報告する。この成果をCOP10で提唱する予定である。