ESJ57 一般講演(口頭発表) E1-05
三橋弘宗(兵庫県立大/人と自然の博物館)
兵庫県豊岡市を流れる円山川水系では、国土交通省およ兵庫県により自然再生事業が計画され、改修工事が進められている。この計画に基づき、河川高水敷の掘削によって水深が30センチ以下となる浅瀬箇所を造成し、コウノトリの採餌場や魚類の生息場所の再創造を行っている。人工的に創出した浅瀬は、河口から約20キロ区間まで連続し、合計で約120haの面積を確保することを予定している。浅瀬を造成する方法は、単純なものではなく、基盤高(水深)や奥行き、傾斜、マウンドの存在、閉鎖・開放・半開放といったように多様な方法が採用されている。新たに造成された浅瀬は、工事から約1〜3年が経過して、一部のコウノトリが飛来するようになった。また、一部の浅瀬では、季節によって、コウノトリ放鳥個体の15羽が集合して過ごすことも観察されている。そこで、これまで市民が確認した観察情報や自然再生事業のなかで確認した情報をもとにして、コウノトリの利用特性について解析および再創造した浅瀬の特性について検討を行った。その結果、秋から冬にかけての浅瀬利用が最も多く、特に水深がより浅い箇所での利用が高く、集団を形成すること、マウンドが付帯するタイプでの採餌が多いことなどが分かった。さらに、潮位との関係によって水位が変動することで、コウノトリの利用も変化し、より干潮時の利用が多い傾向があった。これらの結果と併せて、コウノトリの全国的な地理的な飛来特性をもとにコウノトリの採餌場となる浅瀬の再創造のあり方を検討した。