ESJ58 一般講演(口頭発表) D1-09
*都築一秀(名城大学院・農)近藤慶一,新妻靖章,日野輝明,富田直樹
カワウ(Phalacrocorax carbo)は森林にコロニ-を形成して繁殖活動を行い, それ以外の時期にも集団でねぐらとして利用する. そのため, カワウが利用する森林にはフンが供給され, 森林土壌の含水率の増加や酸性化など土壌の物理化学環境が変化することが報告されている. このような土壌の性質の変化は, カワウが利用していない森林と比較してそこに生息する生物に影響を与えていることが予想される. しかし, カワウのフンが土壌生態系に与える影響として, 土壌動物相に着目した研究例は乏しい. そこで本研究では, 愛知県弥富市弥富野鳥園において, カワウのフンによる土壌の物理化学環境の変化と, それに伴って生じる土壌動物の群集構造をコントロ-ル区(カワウの営巣を禁止している区)と比較した. その結果, カワウのフンによる土壌の物理化学環境の変化によって, ダニ目やトビムシ目, 甲虫目などの個体数や出現種はコントロ-ル区と比較して, 顕著な増加がみられた. カワウのフンによる土壌の物理化学環境の変化が土壌動物相に影響を与えていることが示唆された.