ESJ58 一般講演(口頭発表) F2-03
大澤正嗣(山梨森研)
甲虫多様性に影響を与える環境要因について、カラマツ人工林にて調査した。カラマツ長伐期施業林7林分および壮齢林8林分を選定し、釣り下げ式マレ-ズトラップ (aerial Malaise trap) を地上部と林冠部に設置することにより甲虫を捕獲した。捕獲甲虫の中から、カミキリムシ科、ゾウムシ科、コメツキムシ科、ハムシ科、ナガクチキムシ科、ベニボタル科の6科を調査対象として選別、同定した。各調査林分において、環境要因として、植生、キノコ相および枯死材等を調査し、甲虫多様性と環境要因の関係および、両者の長伐期施業林と壮齢林間での差異について検討した。
長伐期施業により、調査した多くの甲虫科で多様性が高まることが確認された。植生の中で、特に自然に侵入し、成長した太い木本が、林冠の甲虫多様性に影響を与えており、長伐期施業の特徴と考えられた。虫媒花の種類や数も甲虫多様性にある程度の影響を与えている可能性があると思われた。枯死材は一部の材生息性の甲虫多様性に影響を与え、枯死材の分解段階によって異なる影響が確認された。