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ESJ58 一般講演(口頭発表) G1-09

小河川におけるウナギ漁獲量の変動

立川賢一*・今村勝範(流域総合研究会)


「目的」日本におけるウナギの漁獲量は年々減少を続けており、2008年の漁獲統計では最盛期の8.5%にまで落ち込んだ。そのためウナギ資源が危機的状況にあるのではないかと懸念されている。河川環境の荒廃やシラスウナギの乱獲などが主な減少原因ではないかと考えられており、早急の管理対策が求められている。立川らは過去にウナギ漁獲量の多かった大・中河川ではウナギの生活環境を改善する対策が必要であることを提言してきた。今回、演者らは小河川のウナギ漁獲量の変動過程を解析することを通じてウナギ資源の管理のあり方をさらに検討した。

「方法」愛媛県の西南端にある僧都川(流域延長17.1km)の下流において、1994年以降、今村らは直径約1.5mの石倉を数基設置し、ウナギ鋏でウナギを漁獲した。漁獲日数や漁獲回数は一定ではない。漁獲日毎に目視によるウナギの大きさ(小、中、大、特大)別に漁獲尾数を記録しており、このデ-タを解析に使用した。なお、近くで別人らによる石倉のウナギ漁があるが、手元には利用できるデ-タはない。

「結果と考察」1)ウナギの大きさ別の年間漁獲量(C/Y)と年平均日当たり漁獲量(C/D)は、それぞれ異なる年で最高値を示した。2)大きさ別のC/YとC/Dの変動係数は共に、大>小>中の順であった。3)大きさ「小」との年遅れの相関を見ると、「大」では6年後、「中」では4年後の決定係数(R2)が高かった。4)僧都川へのシラスウナギの加入量の大きさが、その後のウナギ資源量に関連しているのではないか、との示唆が得られた。5)ウナギ資源管理対策の有効な基礎資料を得るためには、環境条件の異なるいくつかの小河川でウナギ資源の動向を比較検討する必要があると考えられる。


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