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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-074

シイ・カシ類4種における石灰質土壌への順化能力

*香山雅純 (森林総研九州), 山中高史 (森林総研), 青木菜保子 (森林総研九州)


我が国には、各地に石灰岩が分布する地域が点在する。石灰岩地帯では、高いpHの影響で鉄などの微量元素の吸収阻害がおき、リンがカルシウムと結合し不溶化しているため、リンが欠乏しやすい環境であり、通常の地域と構成種が異なる。ブナ科の樹木では、アラカシとウラジロガシは石灰岩地帯の主要構成種であるのに対し、シラカシの分布は少なく、シイノキはほとんど分布が見られない。

また、ブナ科の樹木の根系は、外生菌根菌との共生関係を確立しており、共生関係が樹木に成長促進効果をもたらす。特に石灰岩地帯では、外生菌根菌が分泌する有機酸が不溶化しているリンを溶かし、植物に吸収させる効果も期待される。しかし、ブナ科樹木が石灰岩地帯で外生菌根菌との共生関係を維持できるかは不明である。そこで、アラカシ、ウラジロガシ、シラカシ、シイノキのブナ科樹木4樹種における石灰岩地帯の土壌に対する順化能力を、主に養分動態を中心に検討することを目的とした。また、外生菌根菌との共生関係が、ブナ科樹木に成長促進効果をもたらすかどうかを検証した。4樹種の実生は、石灰岩地帯の土壌を詰めたポットに植栽して半年間育成し、成長を検討した。植栽に際し、4樹種の実生の根系には外生菌根菌であるツチグリもしくはニセショウロを接種し、接種しない実生も併せて用意した。

半年間育成した結果、ツチグリを接種した実生は4樹種とも乾重量が大きく増加したのに対し、ニセショウロを接種した実生は、ウラジロガシとアラカシでは乾重量が増加しなかった。非接種の実生は4樹種ともほとんど成長できなかった。ツチグリを接種した実生で成長を比較すると、ウラジロガシが最も乾重量が重く、次いでアラカシ、シラカシと続き、シイノキの乾重量は最も軽かった。


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