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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-077

常緑広葉樹実生の光環境勾配に対する成長反応

*河原崎里子12,相川真一1,石田厚3,田内裕之1,可知直毅2(1森林総研,2首都大,3京都大)


シイ・カシ類、ヤブツバキ、イスノキなど常緑広葉樹14種の実生を3段階の光環境(相対照度6、16、44%)で栽培し、成長特性(相対成長速度RGR、純同化速度NARなど)・生理特性(光合成速度など)・形態特性(葉重比LMRなど)の26の特性を測定した。被陰環境での成長様式を明らかにするため、これら特性に光環境ごとの主成分分析を行った。

3つの光処理区で第1軸が全体の変動の27?43%、第2軸はいずれの処理区でも約20%を説明した。第1軸は、相対成長速度、太根/細根(乾重比)、材密度と葉厚の光に対する順化の程度などと関係があり、第2軸は、LMR、地上部量、根量や個体重の光勾配に対する順化の程度などと関係があった。

以上から、1軸が成長の速さを説明し、fast-growingの種は種子が小さく、細根量が多く、材密度が低く、短命で樹高が高く、葉厚の光への順化大きい傾向があり、slow-growingの種はその逆の傾向を持つ。また2軸は被陰耐性と光要求性を示し、被陰耐性の強い種は葉量が多く、根量が少ない、個体の補償点が低い、光環境の勾配への感受性が高いという傾向があり、光要求性が強い種はその逆の傾向を持っていた。

いずれの光環境でも相対成長速度が大きかったのは、クスノキ、イスノキ、ウラジロガシなど、逆に小さかったのはウバメガシ、アラカシ、シラカシなどであった。一方、耐陰性が高いのはイスノキ、マテバシイ、スダジイなど、逆に光要求性が高いのはクスノキ、イチイガシ、アラカシなどであった。

明るい環境でのみNARはRGRに強く貢献し、暗い環境でのみ、薄い葉を広く着けることや、光合成における窒素利用効率が貢献した。


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