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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-091

異なる土壌水分・窒素濃度条件下における窒素固定植物の成長に対する根粒菌接種の効果

*中田望(首都大院・理工),可知直毅(首都大院・理工)


窒素固定植物には貧栄養な環境に生育するものが多いが、その水分環境は様々である。土壌水分条件は、根粒形成や窒素固定活性への影響を介して窒素固定植物の成長に影響すると予想される。しかし土壌水分環境条件が窒素固定植物の成長にどのような影響を及ぼすのか個体レベルで評価した事例はほとんどない。本研究では土壌水分の違いが窒素固定植物の成長にどう影響するのか把握するために、異なる土壌含水率での窒素固定植物の成長特性を評価した。

ミヤコグサMG20に根粒菌接種処理(窒素固定個体)、非接種処理(硝酸吸収個体)を設け、それぞれ13、58、83%含水率土壌で33日間栽培し、刈取測定した。窒素固定活性には土壌窒素濃度も強く影響するため、各条件に対し0.01、1mM-KNO3濃度で施肥しその影響も評価した。

根粒菌非接種処理では、個体バイオマスは土壌含水率の増加に伴い増加し、また施肥濃度が高いほど大きかった。根粒菌接種処理では、低濃度施肥した個体バイオマスには土壌含水率間で有意な差はなかったが、高濃度施肥では土壌含水率が高い条件のみ硝酸吸収個体と同程度の個体バイオマスを獲得した。低土壌含水率では根量が増加しない傾向がみられ、その傾向は根粒を伴う個体で特に顕著だった。

今回の結果から、土壌水分含量の過不足は硝酸吸収個体よりも窒素固定個体において成長に強くマイナスの影響を及ぼすことが示唆された。硝酸や水分獲得のための細根形成、根粒菌との共生のための光合成産物の不足が、成長量を低下させたのかもしれない。窒素固定植物が根粒菌と共生する上で、土壌水分条件は土壌窒素濃度や光強度とともに、窒素固定機能がバイオマス生産上のコストの要因の一つとなる可能性が示された。


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