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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-104

異なる生育環境下でのダケカンバ苗木の葉枚数の変化と個体の成長

小野清美(北大・低温研)


樹木が窒素や乾物といった資源を個体内でどのように利用しているのかを、葉枚数、葉以外の地上部、地下部での量的変化に着目して調べた。高さ約30cmのダケカンバ苗木を実験材料とし、人工気象室内で、コントロ-ル、弱光、栄養欠乏、乾燥という4条件で生育させた。このような小さな個体では、個体内に蓄積している資源量が少なく、展開する葉枚数、地上部・地下部の乾物比を生育環境に応じて大きく変えると考えられる。弱光では個葉面積が大きく、栄養欠乏では葉面積あたりで葉が重くなる傾向が見られた。栄養欠乏では乾燥重量あたりの窒素濃度は低くなる傾向が見られたが、葉面積あたりの窒素量は他の条件とほとんど変わらなかった。ダケカンバは春葉と呼ばれる葉をまず展開してから、夏葉を順次展開するが、この夏葉の展開数はその年の光合成による稼ぎに依存するとされる。春葉の展開が完了し、夏葉が展開し始めたときには、1個体あたりの葉枚数に生育条件による大きな差は見られなかったが、夏葉の落葉も進む頃には、栄養欠乏では1個体あたりの積算葉枚数が少なく、また落葉がより進む傾向が見られ、もともと持っていた資源での展葉数の限界を示したと考えられる。乾燥ではコントロ-ル、弱光に比べ、若干葉枚数が少なくなる傾向が見られた。落葉もできるだけ個体ごとに随時回収し、個体ごとに落葉の積算の乾燥重量や窒素濃度、窒素量を算出した。乾燥重量あたりの窒素濃度は栄養欠乏で低い傾向があり、落葉においても生育条件を反映していた。葉の乾燥重量の積算量はコントロ-ル、弱光に比べ、栄養欠乏、乾燥で少ない傾向が見られた。また葉以外の地上部、地下部の乾燥重量、窒素量はともに、コントロ-ル、弱光では大きく増加し、栄養欠乏、乾燥との差が個体の成長とともに大きくなったが、地上部・地下部の乾物比には生育条件による差は見られなくなった。


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