ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-118
*森千佳(奈良女大・理),村松加奈子(奈良女大),鎌倉真依(奈良女大・共生センタ-),古海忍(佐保短期大),小平友美(奈良女大・理)
人工衛星から植生の総生産量を推定するには、植生指標を介して低ストレス下の総光合成量を求め、気象デ-タを用いて経験的に求めた光合成ストレス関数を乗じる手法が多く用いられている。この手法では、光合成における気孔開度の観測結果を用いているわけではない。
そこで本研究では、人工衛星を用いた総生産量の推定に植生の生理的な振る舞いを導入するために、光合成速度の決定要因の一つである気孔開度をリモ-トセンシング技術で観測する手法の開発を目的とする。
その基礎実験として、岐阜大学の高山試験地において、ミズナラとダケカンバの個葉と樹冠を対象に熱赤外カメラを用いて輝度温度の日変化を観測した。
個葉レベルでは、ダケカンバは一日の葉温の変化が少ないのに対して、ミズナラは日中に葉温が大きく上昇し、一日の変化が大きい。また、ダケカンバと比較するとミズナラの葉温分布はばらつきが大きく、この特徴はミズナラの気孔開度の振る舞いと一致している。樹冠レベルにおいても、ミズナラの方が葉温のばらつきが大きいという違いが定性的にみられた。今後は、気温や日射量などを加えてより詳細な葉温分布の比較を行い、定量的な違いを明らかにしたいと考えている。