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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-208

千葉県における洞窟性コウモリのねぐら選択性

*中村光一朗(筑波大学・生命環境科学),繁田真由美((株)野生生物管理),安井さち子(つくば市並木),上條隆志(筑波大学・生命環境科学)


コウモリ類にとってねぐらとなる洞窟は、日中の休息場所であり、出産哺育や冬眠場所として利用され、その個体群維持にとって重要な役割を持つ。コウモリ類に利用される洞窟は、自然洞窟だけでなく、廃坑や防空壕跡などの人工洞窟も利用され、立ち入りが容易な洞窟では安全上の問題やコウモリ類への攪乱などの問題が生じる。例えば防空壕跡などでは、安全対策上の理由から埋め戻しの検討がすすめられており、ねぐらとなる洞窟の消失の可能性も考えられる。このような現状に対し、洞窟棲コウモリ類の保全のためにはどのような人工洞窟が重要であるかを提示する必要がある。しかし、どの時期にどのような洞窟にどのような利用目的でコウモリ類が生息しているかについて定量的に調べた研究はあまりない。本研究では人工洞窟が多く点在している千葉県において、洞窟棲コウモリ4種が確認される洞窟の環境要因を明らかにすることを目的とした。

調査は春、夏、秋、冬に計125ヵ所の人工洞窟で行い、利用している種と個体数を調べた。洞窟の環境要因として、洞窟のタイプ、長さ、洞口の大きさ、水の有無などを調べた。

利用された洞窟のタイプとしてはコキクガシラコウモリでは洞窟型(戦争遺跡、採掘抗跡)の利用が多くみられ、ユビナガコウモリではトンネル型で確認される傾向があった。

洞内環境要因としては、洞窟が長いほどコウモリが頻繁に確認される傾向があった。これは長い洞窟ほど洞内に多様な微気候が存在し、様々な種や個体にとって適正な微気候が多く存在することによると考えられる。コウモリの種により洞口の大きさは異なった。確認された洞窟の洞口サイズは、小回りを得意とするコキクガシラコウモリより開けた空間で直線的な飛行を得意とするユビナガコウモリの方が大きかった。これは飛翔形態が関連していると考えられた。


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