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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P1-215

トキの採餌効率の違いをもたらす要因

*寺島大紀(新潟大・自然),遠藤千尋(新潟大・超域),蛯原香理(新潟大・自然),早川友康(新潟大・農),渡辺竜五(佐渡市役所・生物多様性),関島恒夫(新潟大・自然)


トキはかつて日本全国の里地里山に広く分布していたが、水田での農薬や化学肥料の使用による食物資源の減少や森林の伐採による営巣環境の悪化、狩猟圧などの原因によって日本産のトキは野生絶滅に至った。日本産トキの絶滅を受け、環境省は日本個体群と遺伝的に同一とされる中国個体群のトキ保護増殖を推進し、2008年より、佐渡島においてトキの試験放鳥を行っている。

佐渡島では放鳥されたトキを野生復帰させるため、トキの利用する採餌環境を整えることが急務の課題となっている。そのため現在、トキの採餌環境を整備する取り組みが環境省、新潟県、佐渡市などの行政機関やNPOにより行われている。しかし、それらの取り組みがトキの採餌行動に与える影響は明らかになっていない。現在、環境省と新潟大学を主体とするトキモニタリングチ-ムによって、トキが利用した水田における採餌速度(単位時間あたりの餌獲得数)が記録されているが、餌生物の種や個体サイズによるエネルギ-量のばらつきが大きいため、比較可能な基準、すなわち採餌エネルギ-効率(単位時間あたりの摂取エネルギ-量)による評価が求められている。佐渡島でトキを野生復帰させるためには、トキの採餌エネルギ-効率の高い環境を明らかにし、今後の採餌環境整備に生かす必要がある。

本研究では、トキの餌候補生物のカロリ-量を種ごとに測定し、これまでに取得された採餌速度デ-タを採餌エネルギ-効率に換算するとともに、モデル解析によって冬期における採餌エネルギ-効率の採餌水田間のばらつきを規定する要因(利用環境の餌生物量、植生被覆、土壌特性等)を抽出し、トキにとって採餌効率の高い環境の特性を明らかにする。


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