ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-092
*増田理子(名工大・社会工学),野口智未(名工大・都市社会),高井美紀(名工大・社会工学)
花のサイズは訪花昆虫の挙動に大きな影響を及ぼすものと考えられる.異なった個体群の間では同種でも非常にサイズの違う花をつけることがよく知られている.しかし,同一個体群内での花サイズの違いはいったいどのくらいの種子生産などの繁殖ファクタ-に影響を及ぼすのであろうか?
愛知県内には多数の湿地が存在し,花サイズの異なるハルリンドウが開花することが知られている.そこで2011年4月から5月にかけて,愛知県内の湿地で開花したハルリンドウの個体について,花サイズを測定し,開花期間,結実数,結実率,種子の発芽率を調査した.
その結果,ハルリンドウの花冠のサイズは同一個体群内で非常に変異が大きく花冠の幅だけでも3倍近くの差が認められた.また,開花期間も非常に大きく変動し,短いものは2日程度,長いものでは10日程度の開花が確認された.花のサイズは初期は比較的大きいものが多いが,開花終盤になると,小さいものが多くなる傾向があった.
さらに,花のサイズと結実種子数には有意な相関が認められ,花サイズが大きくなると結実種子数が増加する傾向が認められた.種子の発芽能力も花サイズが大きい場合には発芽が認められたが,花サイズが小さくなるに従って,日低くなる傾向があった..
花のサイズは訪花昆虫の挙動に大きな影響を及ぼし,ハルリンドウの結実種子数に影響を与えた.また,発芽能力に関しても異なった影響を与えることが示された.