ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-110
*西川洋子,島村崇志(道総研・環境研),原田真実(酪農大)
セイヨウオオマルハナバチの侵入、増加が在来マルハナバチの訪花パタ-ンと利用植物の種子繁殖に及ぼす影響を明らかにするために、北海道石狩浜のセイヨウオオマルハナバチの侵入程度の異なる2地域において、マルハナバチ類がよく利用する植物7種を対象に、セイヨウオオマルハナバチと在来マルハナバチの訪花頻度と結実率の比較を行った。主要な在来マルハナバチ2種は、訪花植物の嗜好が異なっており、短舌種のエゾオオマルハナバチはハマナスやハマヒルガオといった花冠の開いた花をよく利用し、中舌種のハイイロマルハナバチはマメ科の花を好んで利用した。エゾオオマルハナバチがよく利用するハマナスとハマヒルガオでは、セイヨウオオマルハナバチの訪花頻度が高いほど、エゾオオマルハナバチの訪花頻度が高く、このような傾向はマメ科のハマエンドウでも認められた。ハマエンドウは、マルハナバチ類の営巣初期と考えられる6月から7月上旬に開花のピ-クを迎え、セイヨウオオマルハナバチとエゾオオマルハナバチの利用頻度も、この時期に高まる。以上のようなセイヨウオオマルハナバチと在来マルハナバチの訪花頻度の傾向は、ハマナスとハマエンドウにおいて、セイヨウオオマルハナバチの観察数が多い地域でより顕著であった。海岸草原に侵入したセイヨウオオマルハナバチは、開花期間が長く、活動期間のほとんどの時期に利用可能なハマナスとハマエンドウを餌植物として主に利用していた。しかし、これら2種の植物の結実率は、セイヨウオオマルハナバチの訪花頻度が高いことによって負の影響を受けているとは認められなかった。