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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-113

四国・石鎚山における種子による林分更新―標高が異なる林分の比較―

*植田陽衣,中森千尋,嶋村鉄也,二宮生夫(愛媛大・農)


本研究では、愛媛県石鎚山において、現存木の種組成と標高による特徴、2年間のシ-ドフォ-ルの種組成と動態、さらに埋土種子からの発芽を調べることによって、過去から現在、未来への林分更新の過程を予測することを目的とする。

愛媛県石鎚山の標高714m(P?)、1211m(P?)、1487m(P?)に各0.16haのプロットを設置し、毎木調査(成木)を行った。また、各プロットの0.04haにおいて稚樹の毎木調査を、プロット内5ヵ所(1ヵ所1×1m)において実生の観察を行った。2008年9月より各プロット10個のシ-ドトラップを設置、月1回中身を回収し、樹種、粒数を調べた。各プロット内4地点からA〈sub〉0〈/sub〉層、土壌深度0-20cmの土壌サンプルを採取し(秋・春)、農学部構内の温室で光強度を変えて発芽試験を行った。光強度は寒冷紗の枚数を変えることで調整し、4段階(相対光強度約94%-11%)に設定した。

P?はツガ、ウラジロガシ、モミが優占する地上部現存量〈i〉wT〈/i〉が445.18[t/ha]の林分であった。P?はツガ、ブナ、モミが優占し、〈i〉wT〈/i〉は622.01[t/ha]であった。P?はウラジロモミ、ブナ、ミズナラが優占し、カエデ属も多く見られ、〈i〉wT〈/i〉は299.30[t/ha]であった。標高が上がるにつれて、気温・地温の低下、林床のササ被度の増加、個体数・出現種数の減少、萌芽幹率増加(成木・稚樹)、1個体からの萌芽本数の増加が見られた。これは、厳しい環境において、樹木が種子による繁殖よりも栄養繁殖に頼ることを示唆する。また、発芽試験の結果より、P?の土壌からはカラスザンショウ、P?の土壌からはヌルデの発芽が多く見られた。以上の結果から、各調査林分の更新過程を光環境の変化と合わせて予測した。


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