ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-120
白井航来(新大院・自然),金子洋平(新大・超域),本間航介(新大・農)
二次林は成立過程で様々な要因により多様化しており、林分毎にナラ枯れ後の遷移が異なることが考えられる。このような違いを検証するために、佐渡島における2つのナラ枯れ被害林分を対象に林分間の違いおよび光環境と下層植生の出現パタ-ンの関係を調査した。
調査地は豊岡および金北山とし、50m×50mの調査区を設定した。調査は毎木調査、センサス調査および光環境の測定を行った。分布相関を求めるためにspearmanの順位相関係数を用いて解析を行った。
豊岡および金北山におけるナラ枯れ前の林分全体の胸高断面積(BA)の推定値はそれぞれ35.4m2/haおよび49.2m2/haであった。ナラ枯れによる枯死木のBAはそれぞれ約11.7m2/haおよび31.3m2/haであった。これは林分全体のBAに対する割合としてそれぞれ約12%および約64%であった。また、林内の下層植生における木本種の密度はそれぞれ約15万本/haおよび約70万本/haであった。下層植生における優占種は豊岡がコナラ、アオダモおよびヒメアオキであり、金北山がハイイヌツゲ、ツルシキミおよびヤブコウジであった。下層植生の密度と光環境の関係において、豊岡では共に増加する傾向にあり、金北山では共に減少する傾向にあった。
豊岡は被害率および下層植生の密度が共に低い林分であり、金北山は被害率および下層植生の密度が共に高い林分であった。豊岡では光環境と下層植生の密度が共に増加する傾向にあるため、ナラ枯れによる光環境の改善が新規個体の出現・定着に寄与していると考えられた。一方で、金北山では、光環境と下層植生の密度が共に減少する傾向であるため、下層植生が繁茂することで更新が抑制されることが示唆された。