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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-197

葉食性および吸汁性節足動物に対する根粒菌の効果

*片山昇(京大・生態研セ), 張志キ(京大・生態研セ), 大串隆之(京大・生態研セ)


土壌中の菌根菌や窒素固定細菌などの微生物は窒素やリンなどの資源を植物に提供し、代わりに植物は光合成生産物をこれらの微生物に提供する。植物はこれらの資源を用いて生長・繁殖・防衛を行うため、微生物との共生関係は植物の形質を大きく変化させる要因となる。加えて近年、地上の植物?節足動物の相互作用に対する地下の微生物の効果について関心が高まり、同じ植物と微生物の組み合わせでも、その植物を利用する植食者の種類によって微生物の効果が異なることが明らかにされてきた。一般に菌根菌は、吸汁者に対してプラスに働き、葉食者に対してマイナスに働くことが報告されている。一方で、地上の節足動物に対する窒素固定細菌の効果について検証された事例が少なく、植食者の種類によって窒素固定細菌の効果がどのように異なるかについて明らかにされていない。本研究では、ポット植えにした根粒着生系統のダイズ(R+株)とその近縁の非着生系統のダイズ(R-株)を野外に配置し、各株上で観察された植食者の種類と個体数を調べ、吸汁者と葉食者に対する根粒菌の効果を比較した。

調査期間中に、12種類の吸汁者と16種類の葉食者が観察された。それぞれの植食者において、R-株に対するR+株上の節足動物の個体数の対数反応比を計算し、その値を吸汁者と葉食者の間で比較した。その結果、吸汁者・葉食者ともに、対数反応比は有意に0より大きかったが、吸汁者と葉食者で違いがみられなかった。次に、吸汁者と葉食者において各株あたりの多様性指数と均衡度を計算した。その結果、吸汁者の多様性と均衡度は、R-株とR+株で有意な違いはみられなかったが、葉食者の多様性はR-株にくらべR+株で高く、逆に均衡度は低かった。


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