ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-209
*平田令子,松田祥平,中山真俊(宮大・農),松永慎平(宮大・院農),伊藤哲(宮大・農)
渓畔域に造成された針葉樹人工林の伐採が、そこを流れる渓流内の水生昆虫相に与える影響を明らかにするために、宮崎県内を流れる大淀川水系の支流の一つである境川の小支流で水生昆虫相の生息状況を調査した。渓流沿いは、部分的に広葉樹二次林が点在するものの、大部分の面積がスギ人工林となっており、2009年10月に、その上流部において間伐と皆伐が小面積ずつ行われた。
調査は、伐採前にあたる2009年6月に1回、および伐採後にあたる2009年11月、2010年4月、8月、11月に各1回、伐採が行われた区間と、そこから約2km下流に位置する広葉樹二次林区間において行った。各区間の渓流の微環境を瀬と淵およびリタ-堆積の有無で4タイプに分類し、各タイプで3か所ずつ、河床に堆積する土砂とリタ-を、2mmメッシュネットを用いて30×30×5cm採取し、出現した水生昆虫を、可能なレベルまで同定し、個体数を計数した。また、各種を摂食機能に基づいて5群に分類した。
広葉樹二次林区間では、合計68種の水生昆虫が1211個体出現し、人工林区間では、合計68種989個体出現した。本大会では、広葉樹二次林区間と針葉樹人工林区間の水生昆虫相を比較することで、人工林伐採が水生昆虫の生息に与える影響およびその持続性を評価し、渓畔域の保全や渓畔林再生について考察する。