ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-221
*南波興之, 丹羽滋, 日浦勉
地球温暖化による森林生態系への様々な影響の一つに植物の生産性への影響が挙げられ、空気中の二酸化炭素濃度や気温の上昇により、植物の生産量が増加することが予測されている。植物の生産が増加すると林床へのリタ-供給の増加につながる。リタ-は林床に生息する土壌動物群集にとって餌資源であると同時に住処となっている。そのため、林床へのリタ-供給が上昇は、栄養源と住処の両方の側面から土壌動物群集へ影響を与えることが予測される。しかし、温暖化におけるリタ-を介しての土壌動物群集への影響は、ほとんど検証されてこなかった。そこで地球温暖化により地表へのリタ-の供給量が増加することを想定し、それに対する土壌動物群集の反応を検証するため、北海道大学苫小牧研究林に一辺10mの三角形の調査区を設け、トタン板で区切った閉鎖区と開放区を9プロット設置した。その中でリタ-倍加区、リタ-遮断区、コントロ-ル区にわけ、それぞれ3セットずつ(合計18プロット)設置した野外操作実験区を設定した。リタ-の操作は、2009年の秋期に遮断区のリタ-を倍加区に移動させ、翌年の土壌動物のリタ-の量に対する土壌動物群集の反応を検証した。6月、7 月、9 月にピットフォ-ルトラップによる地表徘徊性昆虫類の調査、7月、9月に25cm枠を用い大型土壌動物相の調査などの土壌動物の生息調査をおこない土壌動物の生息数の評価をした。結果、開放区ではリタ-操作による違いは見られなかったが、閉鎖区において翌年にゴミムシやシデムシがリタ-の増加に応じて個体数が増加する傾向が現れた一方で、他の分類群では、一定の傾向がみられなかった。そのため、分類群によりリタ-の増減に対する反応が異なることが考えられた。