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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-222

水生昆虫の生息場環境としての河床礫の質的特徴

*矢島良紀,小林草平,赤松史一,三輪準二(土研)


河床を構成する砂や礫は水生生物の生息場であるが、これらは河川内での砂利採取等により直接的に失われるほか、ダムや砂防工事により土砂の流送が減少すると、下流で河床の粗粒化が生じ、そこでの水生生物の種構成が単純化すること等が指摘されている。

そのため、土砂還元等の対策も行われているが、これらは土砂の総量や粒径に関する検討はなされているものの、礫の形状や表面粗さ、含有鉱物といった岩石の質的な面についての議論はまだ十分とはいえず、水生生物との関係については、未解明な部分が多い。

礫の表面粗さは岩石種によって異なり、一般に微細な粘土鉱物から構成される泥岩は滑らかな表面を持つ一方、比較的大きな鉱物の結晶からなる花崗岩や、火山活動によって噴出する発泡性のスコリア、岩片の集合である礫岩等は、粗い表面を有することが多い。

筆者らは、礫の表面粗さとそれを利用する水生昆虫の生物量との関係について、調査を行っている。2009年5月に愛知県豊川の中-下流の瀬2地点において採取した33個の河床礫と各礫に付着していた水生昆虫を用いて分析を行った。水生昆虫は同定後、個体毎に乾重量を測定し、礫は岩石種判定、XRDによる鉱物分析をおこなった上で、表面をレ-ザ-変位計によって測定し、得られた形状デ-タを粗さ指標Z2に変換し、定量化した。

Z2という粗さ指標を用いた結果、岩石種と表面粗さの関係を定量的に示すことが可能となった。礫と水生昆虫の関係については、匍匐性のヒラタドロムシは滑らかな礫に有意に多く、固着性のガガンボは粗い礫に多い等、いくつかの種における特徴を把握することができた。また、個体の乾重量が0.1mg未満の小型昆虫は小さな礫に多く、10mg以上の大型昆虫は大きな礫により多く生息する等、昆虫の体サイズと礫の粒径の関係についても一定の傾向が見られた。


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