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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-225

霧ケ峰高原における外来植物定着群落への抑制処理に関する研究

*日隈 慶子,大窪 久美子,大石 善隆,玉垣 政博(信州大・農)


霧ヶ峰は採草地として利用されていた半自然草原が分布し、多くの草原性草本植物の生育地として生物多様性を維持してきた。しかし1960年代からの生産活動の変化による草原の減少、変質や、開発による外来植物の侵入、定着により、在来植生に影響を与えている。そこで本研究では霧ヶ峰における外来植物の侵入、定着を抑制し、在来植生を復元する目的で、2008年9月から刈り取りおよび播種実験を実施してきた。前回は刈り取り1年目について発表した(大窪・玉垣、2010)が、今回は2年経過後の結果および新規設定した抜き取り処理の結果についても考察することを目的とした。

霧ヶ峰の中でも特にヒメジョオン類やマツヨイグサ類の優占が著しい強清水(標高1680m)において実験を2008年9月から開始し、現在も継続中である。駆除実験の処理区には刈り取りの有無、刈り取り回数(1回(秋季のみ)、2回(秋季、翌年夏季))、抜き取りの有無、在来種の播種の有無を設定した。刈り取り処理はヒメジョオン類(ヘラバヒメジョオン)とマツヨイグサ類のみ行い、8実験処理区を設置し、反復数は3とした。各プロットは2m×2mとし、中心の1m×1mで群落調査を行った。同時に立地環境条件を把握するため、相対光量子密度と土壌含水率を、どちらも各プロット5点で測定し平均値を求めた。刈り取りは植物体の地際から剪定鋏で丁寧に刈り取った。抜き取りは他の植物を傷つけないよう注意しながら根ごと抜き取った。刈り取られた植物体は研究室に持ち帰った後、乾燥機で処理し、後日、乾燥重量を測定した。刈り取り実験の結果、両者とも年2回の刈り取り処理で減少するが刈り取り後の再生、埋土種子の存在などから継続的に群落を管理し、観察する必要性が示唆された。発表ではさらに今年度から抜き取り処理の途中経過についても報告する。


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