ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-226
*永井牧子,大貫真孝,本田結実,竹内野衣,桜井尚武(日大生物資源)
はじめに
ニワウルシ(Ailanthus altissima)は外来植物の一つであるが、日本ではあまり問題視されていないように思われる。しかし、この種はどのような土地でも生育し、成長も早い。株萌芽、根萌芽を盛んに行い、種子も沢山付ける。このことから、今後日本でも分布を拡大していくおそれがあると考えられる。私は特に、株萌芽個体、根萌芽個体、実生個体の発生由来別特性に着目して調査を行った。この調査によってニワウルシの更新特性を明らかにするとともに、異なる場所での比較を行って、環境の違いによる動態比較を行う。これらの結果から、日本におけるニワウルシの拡大更新様式を検討したい。
方法
2008年4月、日本大学藤沢演習林において、株当たりのニワウルシ萌芽枝群を囲むように45m×35mの調査枠を、2010年5月1日、東京大学田無試験地において、同様に20m×45mの調査枠を設置した。さらにそれぞれの調査地において、調査枠内を5m×5mの格子状に細分し、各格子内に1m×2mのサブコドラ-トを1つずつ設置した。2010年5月1日-2010年10月22日の間、それぞれの調査地において毎週1回、新規個体発生・枯死調査を行い、一週間おきに生存個体の樹高を計測した。
結果
どちらの調査地においても、根萌芽個体は初夏と秋の2回、実生個体は初夏に1回の発生ピ-クがありほぼ同時期に見られた。また、実生個体は10月初めまでに調査区内のすべての個体が枯死したが、根萌芽個体は調査終了時まで生存している個体もあった。成長量に関しては根萌芽個体・株萌芽個体の方が大きく、実生個体はあまり旺盛な成長を示さなかった。以上のことから、株や根からの萌芽個体の繁殖力が強いという傾向が見られたものの、実生による分布拡大についての知見は得られなかった。