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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-231

札幌市近郊に定着した国内外来種トノサマガエルの捕食による湿地生態系への影響

*更科美帆(酪農学園大・環境),吉田剛司(酪農学園大・環境)


トノサマガエル(Rana nigromaculata)は1990年代に学校教材として北海道に持ち込まれた国内外来種であり,札幌市,恵庭市,江別市,北広島市,南幌町で生息が確認されている.本種は在来種に対しニッチの競争の他,捕食により直接的影響を与えることが示唆されている.本研究では, 2008年から札幌市清田区に位置する平岡公園で本種の捕食による影響の把握を目的として,トノサマガエルの食性調査を実施した.

2008年の調査の結果では,捕獲した324個体のうち空胃個体を除く130個体の胃内容物から739個体の餌動物が検出された.更にトノサマガエルの餌資源のモニタリングとデ-タの蓄積を目的とし,2010年にも同様の調査を実施した.その結果,捕獲した305個体のうち空胃個体を除く290個体の胃内容物から3,746個体の餌動物が検出された.餌動物の大部分は節足動物(88.8%)であり,昆虫綱,ヤスデ綱,ムカデ綱,クモ綱,甲殻綱を含んでいた.最も多く捕食されていたのは昆虫綱で餌動物総数の75.4%を占め,次いで腹足綱(10.0%),クモ綱(9.5%)が多かった.餌動物の中からは北海道のレッドリストで希少種に指定されているオオコオイムシ,環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されているゲンゴロウの幼虫やモノアラガイなども検出された.またエゾアカガエルの幼体やニホンカナヘビの成体も検出された.

本研究において,トノサマガエルは5門11綱25目という幅広い動物を餌資源としていることが明らかとなった.北海道には湿地生態系が多く,本種の分布拡大は生態系への強い影響を与える可能性がある.今後,本種の分布拡大を防止するための効果的な防除方法の検討が求められる.


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