ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-242
*津田大輝,加賀谷隆(東大・農・森林動物),宮下直,田中明朗(東大・農・生物多様性),畠瀬頼子(自然環境研究センタ-)
ニセアカシアRobinia pseudoacaciaは、北米原産の外来マメ科高木であり、日本においては河畔域を中心に急速に分布を拡大している。これまで、ニセアカシアが河畔植物に及ぼす影響は理解が進んできたが、河畔の動物群集や食物網の構造や機能に及ぼす影響に関する理解は乏しい。ニセアカシアの管理を考えるには、ニセアカシア群落がどのような食物網特性を示すかを在来樹種群落と比較して把握する必要がある。ニセアカシア林は,特徴的な土壌の物理化学性を有すると考えられる。窒素固定を行うニセアカシアによる高窒素濃度のリタ-の産出は、林床土壌の肥沃化をもたらす可能性があるが,その一方でリタ-分解速度が大きくA0層の発達が抑制されると考えられる。また、ニセアカシアの高いアレロパシ-活性は下層植生の発達を妨げ、土壌の乾燥を生じる可能性がある。本研究では、河畔域の在来樹種群落内に単木的に侵入したニセアカシアが高木層として優占するパッチと、同群落内のエノキやクヌギが高木層として優占するパッチを比較することで、ニセアカシア群落における地表及び土壌動物群集の構造的特性を明らかにすることを目的とし、ピットフォ-ルトラップを用いた採集調査を行った。合わせて植生と土壌の物理化学性について調査し、動物相との関係を検討した。ニセアカシアパッチでは,在来種パッチに比べ,秋に土壌中の炭素と窒素の含有率は有意に低く、夏から秋の林床リタ-層は有意に薄かった。また、土壌CN比、pH、含水率は,ニセアカシアパッチで低い傾向がみられた。ニセアカシアパッチでは,在来種パッチに比べ、春に腐食者が多く,夏に肉食者や雑食者が多かった。