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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-243

佐渡島の溜め池生態系における侵略的外来種ウシガエルRana catesbeianaの影響

池上 沙樹(新潟大,自然科学),布野 隆之,関島 恒夫


生息地の破壊,分断,劣化は,生物多様性の低下や様々な影響を与えると考えられていることから,近年では,世界中で生息地再生による絶滅危惧種の保全が実施されている.しかし,このような生息地再生が実施されて環境に外来種が侵入すると,在来生態系および再生事業の効果に様々な影響を及ぼす可能性が高い.佐渡では,トキの野生復帰を目指し,本種の採餌環境である水田や水路等において,江やビオト-プの創出,環境保全型農業の推進等による採餌環境再生が行なわれている.一方で,これらの再生場所が侵略的外来種であるウシガエルにとっても好適な生息環境となり,ウシガエルの分布拡大に寄与している可能性がある.そこで本研究では,佐渡に生息するウシガエルの分布拡大を抑制する知見を得ることを目的とし,二つの評価を行なった.1つ目は,ウシガエルの食性を明らかにすると共に,選好エサ種であるアメリカザリガニの存在がウシガエルの栄養状態に与える影響を評価した.2つ目は,ウシガエルの生息密度を規定する環境要因を明らかにした.

調査は2009年7月から11月にかけて佐渡島内の52ヶ所の溜め池で実施した.全調査期間で189頭のウシガエルが捕獲され,胃内容から,4門7綱27目26科35種の生物種が確認された.その中でも,アメリカザリガニの出現頻度が約48%と高く,最も重要なエサ生物であることがわかった.また,アメリカザリガニが生息している溜め池で捕獲されたウシガエルは肝臓における脂肪の蓄積量が多い傾向が見られた.ウシガエルの生息密度を規定する要因を明らかにするため,ウシガエルの生息密度を目的変数として,また,陸生及び水生のエサ生物の生息密度,水質などの物理環境要因,水路までの距離などの景観要因を説明変数とした一般化線形モデルを作成した.これらの結果を踏まえて,ウシガエルの分布拡大を抑制するために留意すべき点を考慮する.


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