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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-262

グッピ-におけるオプシン遺伝子の発現部位の個体間変異

*小口結(東北大・院・生命),笠木聡(東大・院・新領域),河村正二(東大・院・新領域),田村宏治(東北大・院・生命),河田雅圭(東北大・院・生命)


生物は色覚から交配相手や餌、捕食者の検出や評価について多くの情報を得ており、色覚は適応度に影響する重要な形質である。本研究の対象生物グッピ-は特に色覚に依存した交配行動を行い、メスはオスの多様な体色のうち特にオレンジ色に強い選好性を示すことで知られる。オスの多様な体色を説明する事柄の一つとして、長波長感受性における個体間変異が期待される。Archer and Lythgoe(1990)はMSP(顕微分光法)によって、少なくとも最大吸収波長λmaxの異なる3つの視物質(533、548、572nm)が存在することを示唆した。この長波長感受性多型に寄与する遺伝子としてLWSオプシン遺伝子が考えられる。LWSオプシン遺伝子にはLWS-A、B、C、Dの4座位がある。すべてが一個体で発現しており、また各座位には配列多型が存在する(Kasagi et al. in prep)。もし各遺伝子が通常の錐体細胞でのように、1つの錐体細胞に1種類ずつ発現するとしたら、Archerらの結果を説明できない。各LWSオプシン遺伝子が長波長感受性にどのように寄与しているかを探るために、各遺伝子の機能を明らかにする必要がある。

そこで本研究ではそのための研究の一環としてLWS-A、B、C、Dについてin situ hybridizationを行い、各遺伝子の網膜上での発現部位を特定する。なおLevin and MacNichol(1982)より発現分布に偏りが期待されるLWS以外の短波長、中波長感受に関与するSWS1、SWS2、RH2オプシン遺伝子についても発現部位を調べ、その発現分布の生態学的意義について考察する。


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